謎の牧師 ロバート・カーク Robert Kirk を追う!

けっして普通ではない牧師、ロバート・カーク!(イメージ)
けっして普通ではない牧師、ロバート・カーク!(イメージ)

「謎の牧師 ロバート・カーク Robert Kirk」

 

 およそ300年前、中世スコットランドに実在した牧師ロバート・カークのことをご存知でしょうか?

 異端狩り、魔女狩りが実際に行われていた時代、牧師でありながら異教の文化であった妖精を研究し、守ろうとしたと言われる一風変わった人物でした。

 著作「エルフ・フォーン 妖精の知られざる国」は、中世の妖精研究資料として評価も高く、ロバート・カークに際立つ存在感を与える異色の論文です。 

 わずかな記録は、ユニークな生き方をほうふつとさせますが、ロバート・カークの後半生は謎につつまれていて、最期には、奇妙な逸話を残して消え、多くの謎を残す伝説の人となりました。 
 謎に挑もうと始まった「ロバート・カークプロジェクト」では、残された資料に光を当て、既説にとらわれない自由な発想で推理し、通説を覆す新しい人物像の構築に取り組みます。

 筆者も驚愕した、意外な展開をお楽しみ下さい。 

 まずは「フェアリー(妖精)協会」機関紙「妖精の輪」第12号に掲載された記事の抜粋からスタートいたします。 

 

※※※


 『ロバート・カークは、今をさかのぼること約300年、17世紀末に一種の妖精の事典とも言うべき論考「エルフ・フォーン妖精の知られざる国」をまとめた実在の人物だが、いきなりこの名を聞いてどこの誰だかわかるあなたは、よほどの妖精マニアか専門家であるに違いない。 

 かく申す私は、井村先生の名著「ケルト妖精学」において初めてロバート・カークの伝説と出会って以来、頭から離れない人物になっている。 
 さて、ここでロバート・カークの紹介だが、スコットランドのアバーフォイルに生まれ、父親と同じくプロテスタント教会の牧師として聖職についた彼は、ゲール語や民俗学などの研究もする学者肌の人物だったようである。 
 ようであると言うのはロバート牧師についての記録はわずかで、生涯についての詳しいことはわかっていないからだ。 
 50歳前後で死んだと伝えられている人生の最晩年にまとめられた「エルフ・フォーン妖精の知られざる国」は、スコットランド地方に伝わる妖精信仰ついて記したものであり、客観性と冷静さに裏打ちされた論考で、妖精の実在を訴えている。

 文脈には当時新しく登場した近代科学に対して敏感に反応していた形跡を見出すこともでき、民俗学に科学を導入した相当初期の試みであるかのような先進性をも感じさせる。 
 世界的な妖精研究家だったキャサリンブリッグズ氏もこの書について「妖精伝承についてかつて書かれたものの中で最も重要な著作の一つ」とできばえの良さを評している。 
 しかし、現在この書の全文邦訳は刊行されていない。妖精の研究資料としてこれほどのユニークで存在感の在る貴重な文献の全訳本が無いのも不思議な話であるが、カークにはともかく不思議な話や謎がやたらと多い。 

 

……中略


 彼の面白さの全貌をお伝えするにはあまりに小さな紙面の悲しさ、せめて、ここでは概略だけでもお伝えしたかったのだけれど、それは無理とわかった今、残されたスペースで私が最後にできること…… 
 解明した知られざる秘密の全貌を、いずれなにかの形で発表いたしますとの公約。 
 そして、 井村先生、「エルフ・フォーン妖精の知られざる国」全訳文の刊行をお願い申します!の叫び。

 

※「エルフ・フォーン妖精の知られざる国」は、上記の井村先生の著作以外に、荒俣宏先生訳で、世界幻想文学大系(国書刊行会)第35巻「英国ロマン派幻想集」に「秘密の共和国」として収録されています。但しこちらは部分訳です。また、井村先生がお取り上げになられている「フォイゾン」などの紹介が無く、妖精研究にとっては十分とはいえず、残念です。全訳文の刊行については、記述の通り、井村先生にお願いしています。

 

推理についてですが、本当にすごい推理なんです。いや、推理と言うより妄想の域であることは認めます。でも、身近な人に語って聞かせたら皆さん結構驚いていたし、井村先生にも「とても面白い」って、お褒めの言葉を頂けました(^_^;) 』 

 

※原稿を一部改変しています。

 

※※※

 

 さてさて、では、いよいよ「ロバート・カークプロジェクト」を始めるといたします。 

※「ロバート・カーク ついに正体を現す!?」

 は、核心部分を含んでいますのでお急ぎの方に特におすすめです。その他の内容は←左上のメニュー、または、このページ下の目次で紹介しております。

 

※スコットランドのアバーフォイルでは、ロバート・カークは伝説の人物となっており、観光PRに一役かっているようです。現地の観光センター(らしきところ)では、小さな資料コーナーなどもあるようです。 
 英語力の乏しさをうらんむこのごろです。語学に問題なければ、日本とスコットランドの新しくも奇妙な架け橋ができるだろうにと、思わずにはいられません。 
 どなたか、語学力堪能で、歴史好き、かつ、推理好きの方、いらっしゃいませんかあ(^_^;) 

 


謎への挑戦が今始まる!「ロバート・カークプロジェクト」GO!

死後100年以上も経って建てられたロバート牧師の記念碑
死後100年以上も経って建てられたロバート牧師の記念碑

 ロバート・カークに興味をいだく人は、大きく2つのグループに分けられる。

 ポイントになるのは、生前か、死後か、どちらの話に焦点をあてるかである。

 知る人ぞ知ると言うほどの、マイナーな人物の話ではあるが、どういう経路をたどるかは別として、ロバート・カークに出会った人の興味を最初に誘うのは、一般的には死後の話であろう。

 ロバート・カークは実在の人物であったが、死後は、自らファンタジーの登場人物になったごとく、怪奇な伝説を残す怪人へと変身する。 
 怪奇な伝説は、アバーフォイルの観光PRにうってつけの話題である。 
 ロバート・カークゆかりの地であるアバーフォイルは、妖精の国スコットランドの中でも妖精のメッカのひとつであり、妖精情報に事欠かぬ地域だ。実際、ロバート牧師目当てに訪れる観光客もいて、インパクトのある話である上に、観光PRの効果もあってか、ロバート・カークの印象は、死後の話で際立っているのも確かだ。 
 対して、生前の話の関心は、ロバートの著した「エルフ・フォーン 妖精の知られざる国」に集中する。「妖精の知られざる国」は、中世にまとめられた妖精に関する研究資料として非常に評価の高いもので、妖精学のみならず、民族学や、中世文学の研究者から、研究対象として価値が認められている。 研究者の発する情報は、主に出版されて広まるので、研究者や読者の集まる文字の周辺では、結果として著作物の方が注目されることになる。

 極論するなら、上述のロバート・カークに興味をいだく2つのグループとは、一方は死後の話に惹かれてアバーフォイルを観光したくなるようなファンタジー好きな人たちのことを指すのであり、またもう一方は著作の研究をする専門家や、周辺の読者たちのことを言うのである。 

 死後の話に比べると、生前の話は一見いたって地味なせいもあってか、著作物以外に関心を持たれることは少ないらしく、史実に基づく伝記としての言動に焦点を当てた人物伝はあまり出て来ない 。

 生前の人物そのものに興味の焦点を合わせる人たちのことを、少々意味ありげに第3のグループと称するなら、第3のグループこそ、中世スコットランド史にロバート・カークという、新しいヒーローを生み出す人たちになるのではないかと思う。 

 この文章の表題に付いている「謎の牧師」の示す謎というのは、ロバート牧師の死後に登場する怪奇な伝説のことを指しているのではない。実在した人物像を写実的に描き出そうとするときに現れる歴史の謎のことである。どこが謎なのかを洗い出し、史実や背景とも照らし合わせて推理することで謎の氷解に挑むなら、ロバート・カークは新しい姿で現代によみがえることができるのである。

 

※推理小説よりも面白いと、大評判!?

 いよいよ謎の正体に迫ります。

 

 

「ロバート・カーク 謎の卵」につづく

 

 

※目次。他のページの紹介です。

 

「ロバート・カーク 伝説の謎」

「ロバート・カーク ロンドンの謎」

「ロバート・カーク 死因の謎に挑む」

「ロバート・カーク ついに正体を現す!?」

「ロバート・カーク チェンジリングの謎(Ⅰ)」

 

※参考文献

 

「ケルト妖精学」 
「妖精辞典」 
「妖精学大全」 
「ウエヴ上で、妖精の知らぜらる国の原文を読めます」 
「スコットランド ミステリー&ファンタジーツアー」 
(ロバート・カークの人物像について、詳しい紹介があります)

 

 

※「謎の牧師 ロバート・カークを追う」は妖精どっとこむのプロジェクトとして「琴座の青星」さんと共同研究することとなりました。 

 今後は「ロバート・カークプロジェクト」として展開してまいります。 

※死後の具体的な逸話につきましては「琴座の青星」さんの方で近く、アップされる予定です。