ロバート・カーク ついに正体を現す!?

※ロバート・カークの正体とは!?

 

書簡のやり取りより。

 

 ついに!と申しますか、これまで暖めて来たロバート・カーク研究の核心に触れるお話しを披露させて頂こうと思います。 
 まず、どう出会い、なぜこだわり始めたのかをご説明します。 
 これこそ全ての始まりであり、核心に通じるお話しなのです! 

 ロバート・カークは、井村先生の著書で出会いました。

 文学史の流れの中に妖精を見い出すという趣旨の著書です。

 中世の分野でカークをお取り上げになられた先生は「妖精の知られざる国」を一部訳して紹介されています。 
 この文章、初めて読んだときから妙に引っかかりました。

 なぜだろうと考えることから、すべては始まりました。 
 訳文を抜粋して、以下に転載します。まずは、ご一読下さい。 

 ※以下コピー 

 「妖精たちは、かつて悪魔(デーモン)がそうだと考えられていたように人間と天使の中間の存在だと言われている。 
 妖精は知的にすぐれており、もの事を知ろうとする精神と軽くて形の変えられる身体、例えば「アストラル(幽体)」と呼ばれるようなものからできており、なにか凝縮された雲のような感じの存在で、とりわけ黄昏どきに人の目に触れる。 
 妖精の身体は、それを動かす精神のもつ精妙な作用を非常に受けやすくできているから、意のままに現れたり消えたりできる。

 あるものは液体を吸収しやすい希薄で乾燥した身体、あるいは媒体といえるものを持っているので、ほんの少し上等な蒸留酒をすするだけで身体を保つことができ、酒はただの空気か水のように、その身体に浸みわたる。

 またあるものは、もっと実のある「フォイゾン(成分の本質)」、すなわち穀物のエッセンスや酒、あるいは穀物そのものを食べて生きる。」 

 ※井村君江著 「ケルト妖精学」ちくま学芸文庫 P121~122 

 なぜ引っかかるのだろうと考えてわかったことは、読んだ印象の違和感でした。 
 筆者の井村先生は、この一節を
文学の歴史を語る上で中世の資料として取り上げています。

 ところが、この一節は、文学の文節というよりまるで物理の論考です。文学者の書いた文章というより、科学者の著述だと思えたのです。 
 話をわかりやすくするために、要約します。 

 「妖精は知的にすぐれており、もの事を知ろうとする精神と軽くて形の変えられる身体でできている。

 なにか凝縮された雲のような感じの存在で、それを動かす精神のもつ精妙な作用を非常に受けやすくできているから、意のままに現れたり消えたりできる。」 

 とても論理的で構造的な文であると思いました。 

 「妖精は凝縮された雲のような存在である」とは、ようするに粒の集まりということです。 
 粒だから、集まれば現れたように見え、離れれば消えたように見える。

 妖精や幽霊がパッと消えたり現れたりするのは、こうした仕組みがあるからだというわけです。 
 しかし、粒は粒でも、真ん中にある粒は、他の粒とはちょっと違う。 
 知的で、もの事を知ろうとする精神という粒である。いわば親分の粒である。 
 その周りに軽くて形の変わりやすい粒がとりまいている。いわば子分の粒である。 
 親分と子分の間は、精妙な作用が働く関係にある。 

 絵を描いている関係でしょう、瞬間、頭の中にこの話が図像となって現れました。 
 原子核の周りを電子がとりまいている図でした。 
 しかし、次に浮かんだイメージこそ、重要でした。

 宇宙空間で働く引力の構造図です。 
 真ん中に太陽(親分)、周りに惑星(子分)、太陽と惑星の間には、精妙な作用(引力)が働いている…… 。 
 つまり、万有引力の概念とまったくの同一であると思ったのです。 
 万有引力は、宇宙に存在する真理のひとつです。

 カークは、妖精の研究を通じて宇宙の真理を垣間見たとでも言うのでしょうか。 
 この文節には、何か謎めいた秘密が隠されているのではないかという気配を感じました。 

 万有引力を思いつくと、当然、ニュートンを思い出します。確か、同じ頃ではなかったかと思いました。 
  
 気まぐれで調べて、あっと驚きました。 
  
 ニュートンが著作「プリンキピア」で引力を発表したのが、1687年。 
 ロバート・カークが「妖精の知られざる国」をまとめたのが1691年。 
 ニュートンの4年後、しかも、イングランドとスコットランドの関係です。 
 プリンキピアは、当初難しくて理解されるのに時間がかかったと言われています。

 専門家の議論を経て、一般の教養人にもわかる話にまでこなれるには、多少の時間がかかったはずです。

 また、地理的な差もあります。

 4年という時間は、ニュートン発の情報が、カークの文書に影響を与えるまでに要した時間として、この場合ぴったり当てはまるような気がしました。 
 この関係から、ロバート・カークは、ニュートンの影響を受けたのではないかと推察したのです。

 宇宙の真理を見通したニュートンほどの頭脳の持ち主ではなかったにせよ、かなりのインテリであり、ニュートンの周辺の人であった可能性の高さを思いました。 
  
 濃厚な繋がりを疑える! 
  
 すると、大きな疑惑が沸き起こりました。 

 ニュートンは、今でこそ科学者であるが、当時は、錬金術師と呼ばれていたはずである。

 つまり、ロバート・カークとニュートンの関係は、牧師と錬金術師の結びつきの関係でもある。 
 ロバート・カークは、牧師でありながら妖精を研究していたのみならず、錬金術をも研究していたというのか? 

 ここまで来ると、疑惑は連鎖的に膨らみます。 

 錬金術を研究していたということは、すなわち、魔術をも含んで当然である。 
 いや、むしろ魔術こそロバート・カークの本質なのではないだろうか!? 
 妖精の研究にしても、妖精の研究の中に魔術も含まれるというのではなく、魔術の研究の一端として妖精があったのではないか? 
 このとき以来、研究の中心は、ロバート・カークと魔術の関係の追求に定まったのです。」 

 ※※※

 「カークとニュートンを結びつけた文節の解釈ですが、我ながら推理の冴えを自画自賛したくなった一方、単なる当てずっぽうと隣合わせ状態で、当初は、こじつけと見分けのつかない状態でした。 
 特に気になったのは、凝縮された雲の解釈です。 
 凝縮された雲を、粒の集まりと言い換え得られるかどうかが鍵でした。

 ふわふわしたかたまりの全体を指して雲と表現していれば、文学です。粒子の集合体であることを見通しての表現であれば、科学です。 
 弱点は、雲のことを粒子の集まりと明言していないということでした。

 通読すれば間違いないと確信できるのですが、明言されてない以上、確定できなかったのです。 


 少し前までは(^O^) 

 ご安心下さい。実は、この当て推量、ド・ストライクだったのです!! 
 最近見つけた次の文をご一読下さい。 

 「悪魔の肉体は凝固した空気にほかならないから、凝固した水(すなわち雪や氷)と同じく冷たいはずである。しかも水の粒子よりもさらに繊細な粒子から組成されているので、それはいっそう鋭く突き刺すような冷たさをもっているはずである。

 それゆえに、それ(悪魔の肉体)はいっそう進入するのに適しており、いっそう適確かつ刺激的に神経に作用し興奮させる」 

 これは、1653年、すなわちカークが幼少の頃に出版された、ある書物の一節です。

 王立協会が設立される直前、後のメンバーの一人によって書かれました。 
 当時、アカデミーで原子論が盛んに論じられ、物質の元は、粒子であるという考えはすでに一般的でした。

 このことから雲を粒子の集まりと考えていたことは、アカデミー内で交わされていた論争を提示することで十分説明できました。

  けれど、もっとダイレクトな形でカークに影響を与えた考えがあったわけです。 
  
 この文章の発見は、衝撃でした。 
 これまで「妖精の知られざる国」は、カークの人生経験と取材の成果とばかり考えていました。 
 カークは、こじんまりした里で、誰にも理解されることなく妖精の研究を一人こつこつ地味にやっていた、そんなイメージに縛られていました。 
 ところが、この時代、情報の流動、流通は想像以上に活発だったのです。

 もっとダイナミックな生き様をした人物と、とらえなければならなかったことに気づいたのです。 
 カークは孤立していたのではなかった!もっと横に縦に繋がっていたのです! 


 さて! 
 結論的に申しまして、カークと魔術は繋がります! 
 研究ではなく、実践していた。つまりカークは魔術師だったのです!!! 
  
 魔術師カークは、何を求めていたのでしょうか。 
 ご承知の通り、カークは7番目に生まれた息子でした。

 7番目に生まれた息子は、セカンドサイト(霊視)の持ち主と信じられていたのです。 
 つまり、生まれながらにして、妖精や幽霊を見る力が備わっていたことになります。 
 しかし、実際のところ、そんなはずはないわけです。 
 カークは、妖精の研究書をまとめるほどに、もともと妖精や不思議なものに惹かれる性格であったと思われます。 
 妖精好きで、しかも7番目の栄誉にあずかっていたにも関わらず、肝心の妖精は見えなかったろうと思われます。

「妖精の知られざる国」には、見える人の身体に触れながら肩越しに見る方法など、どのようにすれば、妖精が見えるかについて、ページを割いて具体的に紹介しています。 
 しかし、カーク自身がセカンドサイトを発揮して妖精を見たとは書かれていません。 
 妖精は実在していると主張しようとしたのですから、見たのであれば、そのままの体験を著述すれば済む話です。 
 カークは、結局自身で見ることができなかったから、世間で伝わる伝承を紹介するにとどまったのです。 
 見たかどうかをはっきり判定できないほどのあいまいな経験ならあるとか、見たけれど意図的に隠したとも考えられますが、おそらく見えなかったのであろうと考えて良いと思います。  
 見えなかったからこそ、よけいにどうすれば7番目に生まれた者らしく、妖精を見れるようになるのか、特別な思い入れを込めて熱心に調べたと思います。 
 一般に「妖精の知られざる国」の研究者がセカンドサイトについて考察する場合、カークの研究の一部として内容そのものを対象にしますが、セカンドサイトに対するカークの個人的な思い入れや、関係について言及する人はいないと思います。 
  
 いえいえ、実はそここそ重要なのです! 
  
 あらためて考えればわかることですが、セカンドサイトは「妖精の知られざる国」の最も大事な研究です。 
  
 なぜかを申します。 
  
 セカンドサイトは、世の中を変えてしまうほどの力を持っているからなのです。

 セカンドサイトを実現すると、世界の王になることも可能になります。

 セカンドサイトとは、すなわち、一般の人でも妖精を直視できるようになる技術です。

 妖精を見る技術を確立するということは、妖精の存在を証明することです。

 妖精の存在を証明すると、大変な事態が起こって来ます。 
 妖精の存在を証明することは、すなわち突き詰めれば神様の存在をも証明することになってしまうのです。

 神様が実在する!
 神の存在を実験科学的に立証できれば、人間の理性と信仰を無理なく調和する理想世界の実現に、牧師の立場で貢献できるのです。

 この時代「科学」という、新たに登場した「革新的な理性」によってキリスト教はゆらいでいました。

 神学思想も多大な影響を受けました。

 中でも脅威だったのは、無神論者たちの台頭です。

 無神論者を生み出す背景にあるのが「科学」の登場であることは言うまでもないことです。

 「科学」を知ってしまった人間の脳に神をどう調和させるか?

 神学思想は、「科学」に遅れをとる形で新しい問題を抱え込むことになったのです。

 しかし、カークが神の存在を実証できれば、神学思想は科学をリードする立場を取り戻せるのです。聖職者としてこれ以上の仕事はありません。 

  また、ずいぶん俗っぽいお話になりますが、もしもカークが低俗な野心家だったら大きなチャンスの到来になります。

 人間と妖精の間に立って通訳のような役割を果たせる人間がいたら、人間世界では、王様以上の存在になれると言って過言ではないのですから。

 

 鍵は、カークの眼です。妖精さえ見えれば、すべての道は開かれるのです!

 

 聖者であったか野心家であったかは別として、結果次第でいかに重大な話に発展するかを考えれば、カークの並々ならぬ思い入れの深さをご理解頂けるのではないでしょうか。 

 カークは、当然、自分で取材したソースは全て自身で試したことでしょう。

 「妖精の知られざる国」で紹介している方法はもちろん、してないことであっても間違いなく試したでしょう。

 むしろ、隠された技法こそたくさんあったのではないかと思います。 


 隠された技法とは何か? 
 またまた、核心に触れるお話しを申します。 

 隠された技法とは!?  
 

 ズバリ!

 

 薬物の使用に他ならないと思います。 
 妖精を見たいがため、カークは薬を乱用したのではないか!!! 

 魔術と薬物の間に密接な繋がりのあることは言うまでもないことです。

 薬を使って妖精を見る方法を、伝承や魔術書の中に見出すことは簡単だったはずです。 

 たとえば、魔術書の中に、薬のAとBを混ぜて飲むと夕方に妖精が見えるなどと書いてあったとします。カークの立場で試さなかったことなどありえるでしょうか。

  

 つまり、カークは魔術の実践者であり、魔術師だったのです。 
 飛躍しますが、カークの死の原因についても、薬物の関わっていた可能性を疑えます。

 死因を心臓発作などの突然死と推定できることは、すでにお話しした通りです。

 薬物は、死因として大いに疑えます。

 死亡の記録があいまいになっていることも、薬物による何かの影響かもしれません。 

 

 カークは、妖精を見たいがために薬に手をそめ、薬をきっかけに魔術の世界に足を踏み込んだ。

 

 いえ、これは仮説です。

 全てを明るみにするためには、日記やメモなどの新資料の発見に期待するしかありません。

 全く何も無いとは思えません。調べる動機を見出せないだけで、埋もれたままになっている資料があるのではないでしょうか?

 現地の研究者にこの「ロバート・カークプロジェクト」を知って欲しい気持ちです。

 

 こちらは、わずかな情報とおぼつかない直感だけで考察を続ける他ありません。

 けれど「秘密」をひも解く糸口はつかんでいるのです。

 実は、カークと魔術の関係について、ただの思いつきでなかったことを裏付ける情報を最近入手いたしました。 

 そこには、ロバート・カークの世界をさらに大きく展開する驚愕の事実まで示されていたのです。 

 詳しくは、機会をあらためて。」 

 

 

ロバート・カーク チェンジリングの謎(Ⅰ)につづく

 

 

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